会長ご挨拶

鶴翔会の皆様におかれましては、益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。

新型コロナウイルス感染者が5類感染症となり人々の活動が再開した2023年は、生成AIに代表される技術の進歩を垣間見る一方、世界の紛争も継続し、光熱費の高騰をはじめ多くの課題に直面しました。そして2024年を迎えましたが、1月1日に発生した能登半島地震により人命と地域の平穏な生活が奪われました。何らかの形で被災された鶴翔会員もおられることと思いますが、謹んでお見舞い申し上げるとともに、被災地域の一日も早い復旧を心よりお祈り申し上げます。

さて、岡山大学医学部は、地域・世界へと優れた研究者と医療人を育成・輩出し、良質な医療・保健の維持と発展に貢献してきました。今後とも優れた教育研究を展開し、この使命を果たしてまいりたいと考えています。そのため、教育では、受け継がれてきた「あなたのそばに先進医療」の理念及び「医のプロフェッショナル」育成のために、ディプロマポリシー等で明示した特色ある医療人養成の取り組みを受け継ぎ発展させていくことが必要です。また併せて、昨年は医学教育認証評価(2巡目)を受審し、無事に医学教育分野別評価の認定機関として「認証」されましたが、引きつづき、本学の医学教育が不断の改善サイクルの中でより高度化し続けるためには、働き方改革も叫ばれるなか、デジタル技術も活用しながらのさらなる教育・学習環境の整備・拡充などの取り組みが大変重要と考えています。中でも、データサイエンス等の教育やプロフェッショナリズム教育、海外施設との人的交流による国際感覚の涵養、並びにアカデミック・マインドセットを獲得・醸成するプログラムなど従来の取り組みを引き続き推進してまいりたいと考えています。また、患者に寄り添った良き医療者の育成を目指したビジュアルアート教育も新しい試みとして期待されています(岡山医学会雑誌 第135巻p. 152-157)。

また、研究では、本学が研究大学として発展し続けるために、革新的医療技術創出拠点、がんゲノム医療中核拠点病院等の選定機関であるという誇るべき本学の教育・研究・診療の環境や、2021年に立ち上がった産学共創と異分野融合による医療イノベーション創出の場(BIZEN) などを活かしつつ、医学・保健学の研究やイノベーションにつながる取り組みに挑戦できる環境を医学部に引き続き整備します。そしてその人材育成は、科学的・社会的インパクトの高い研究成果や、大学経営にも貢献する大型研究資金の獲得といった、人材・知・資金の好循環による研究エコシステム構築の実現につながると考えます。また、2023年12月に岡山大学が「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業」に選定されましたが、この事業における3本柱の一つである「医学・臨床医学領域」を担う医学部としても他の医療系部局と協働し、研究活動をより活発に展開してまいりたいと存じます(https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r5/press20231225-1.pdf

今後とも、同窓会員の皆様からの更なるご指導・ご鞭撻、そしてご支援を賜りますよう宜しくお願い申し上げますとともに、皆様の益々のご健勝とご多幸をお祈り申し上げます。

令和6年1月
鶴翔会会長(医学部長)
豊岡 伸一

写真:鶴翔会会長(医学部長) 豊岡 伸一
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